先般、神宮外苑のイベントにおいて、投光器による自然発火で小さな子の命が奪われた事故。皆さんも心を傷めたのではないだろうか。
住宅業界に携わる我々にとって、これは他人事ではない。ちょっとした事で大きな事故を起こしてしまう。
子供から高齢者まで暮らす住宅にも、小さな子供にたくさんの危険が潜んでいる場合がある。
自身、かなり前から感じていること……階段や吹抜を見下ろす手摺の形状が危険なものがたくさんある。
挿し絵:佐久間作
本来、手摺は高いところから下へ落ちないようにする為のもの。しかし、よく見かけるのが、柱と一番上の笠木しかなく、中が空洞になっているものや、粗めの横桟式のもの。
絶対に小さな子が来ないとか、絶対に2階に上がらないというのであれば、まだ許せる。しかし、小さな子がいる家庭や遊びに来る家庭で、滑落事故が起きたら大変な事になる。設計者として、その辺は理解しているのだろうか。また、そのような危険性があるという事を説明しているのだろうか。
はなはだ疑問である。
確かに手摺は家の中の顔になる。お洒落な手摺を創ると自慢も出来る。
住み手は住宅に危険が潜んでいるなどとは思ってもいないだろう。
設計者としては、新しいデザインや流行のデザインを取り入れたいのは当たり前であるし、横桟式の手摺の方が、お洒落に見える。
しかし設計者は、プロである。デザインのみにとらわれず、住み手の安心安全も同時に考えて行かなければならないと感じている。