| 性能とデザインを両立させた強く優しい住まい。
緑の斜面に守られるように建つのは、昨年9月に完成したKさんのご家族の家である。
敷地は200坪を超える広さがありながら、法面が多くを占め、しかも旗竿地という特異な条件を持つ。お子さんの誕生に合わせて、それまでのマンションから一軒家の新築を考えたご夫婦は、200㎡越えの住まいを希望していた。広い土地とはいえ、有効面積の限られた敷地にそんなに大きい家が建てられるのか。施工担当したキクザワの管理部長菊澤久志さんは当時を振り返る。「お施主様が持っているこだわりをカタチにすべく、何度もプランを見直しました。大変と言うよりはやり甲斐があり、楽しかったですね。」
キクザワとの出会いは、同社で家を建てた奥さまの弟さんの紹介によるもの。実のところ、他社で計画を進めていたが、ご主人が重要と考えていた高断熱、高気密をはじめ、耐震性、太陽光発電の設置といった住宅性能部分での安心感、加えてデザイン性の高さも魅力に映った。同じコストをかけるならクオリティーの高い同社で、と決めたのである。オープンハウスも軽く50件以上は見学するなか、菊澤部長とのコミュニケーションも深まり、何でも相談できる関係性ができた。「頭の中でやりたいことが膨らむなか、それを上手く交通整理し、常に最善へと導いてくれたのが頼もしかったです」とご主人。
ひと冬を経て、縁側のようなテラスで日向ぼっこを楽しむご家族の笑顔に、満足の高さがうかがえる。
| お気に入りのキッチンの周りに集まり、おしゃべりも弾む
住まいの中心をキッチンと考え、こだわりを持って選んだのがグラフテクトのアイランド型キッチンと同じ面材でコーディネートされたバックセットだ。ふたりで料理をすることが多く、狭いキッチンはストレスだったと奥さま。お互い別々の場所で作業したり、すれ違うのにもゆとりがあるキッチンが欲しかったという。ご主人がネットでカウンター幅が優に3mを超えるキッチンを見つけた時、この大きさが入る家であることが第一の条件となった。「主人はつくるのが好きで、人に振る舞うのが嬉しいみたい。私の友人が遊びに来た時はステーキを焼いてくれたり、みんな喜んでいます。」
そんな奥さまとご主人は会話がポンポン弾むおしゃべり好きでもある。食事の後はそのまま居残りして、晩酌を楽しみながらその日の出来事などを語り合うのだそうだ。リビングに移動しなくてもこの場でゆったりできるよう、ダイニングにもソファーを組み合わせている。床には当初磁器タイルを入れたいと望んだが、キクザワの提案で割れることなくメンテナンスもラクで、足にソフトなフロアタイルを採用。キッチンの左手には食品庫と大容量のパントリーがあり、玄関から最短距離での出入りが可能に。買い物の荷物を運ぶ際にも、便利な導線も奥様が譲れなかったもののひとつである。
| 夫と妻がそれぞれの「好き」を尊重し、やすらぎの空間を実現。
パソコンの得意な奥様は、無料の設計ソフトを使って理想とする間取り図を3Dで作成し、ご主人にプレゼンテーション。「色づかいや素材の表情などを見せて、どんな空間にしたいのか話し合えたのがよかったです。パースはキクザワさんにもお見せして、自分たちのやりたいことをお伝えしました。」ご主人は土地探しや住宅性能に関する問題を担当し、夫婦でバランスの取れた住まいづくりができたそうだ。
一方、個々のやりたいことには、お互い口出し無用とし、それぞれの趣味の域を尊重した。おしゃれなご主人は靴や洋服の数も多く、専用のクロークを確保。ダークトーンのインテリアでまとめた自室は、シアタールームとしても機能し、ゲームに没頭したり家族で映画鑑賞を楽しむことも。奥さまの部屋には海外ドラマやインスタを参考にしたというブティックのようなクローゼットが併設され、洋服の見える化で整理整頓がスムーズに。パソコンデスクを造作した書斎コーナーも設け、ひとり時間を充実させた。「間取りで特に気を遣ったのがホールを挟んで主人の部屋と距離を保つこと。同じフロアにいながら、夜遅くテレビの音が気になることもなくなりました。」
この家に暮らして思うのは全く後悔がないことだとご主人は話す。「よく家は3回建てなきゃ満足できないというじゃないですか。うちにはそれが当てはまりません。菊澤部長が私たちの思いを汲み上げ、できること・できないこと、なぜそれがそうなのかを真摯に伝えてくれたおかげだと思います。本当に感謝しています。」